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エベレストの遭難者救助に救助ヘリが行かない理由

山岳救助にヘリコプター?

雪崩や地滑り、急な悪天候やケガにより冬の雪山で遭難する登山者が後を絶ちません。
登山者が自力で下山できない状況になった場合には救助隊が出動するわけですがどうして高い山の救助には救助ヘリが向かわないのでしょう?
着陸場所を選ばなくても済むのでヘリコプターが山岳救助に向いていると思われがちですが・・・
しかしエベレストのような標高の高い山にヘリコプターが救助に向かわないのにはちゃんとした理由があるのです。
そもそもヘリコプターはエベレスト山頂のような高度で運用されるような乗り物ではないのです。
まずはヘリコプターの飛行する仕組みを見てみましょう。

ヘリコプターの飛行する仕組み

ヘリコプターの飛行する仕組みは単純で”揚力”(ようりょく)によるものを利用しています。
完結に言うなれば重力に逆らう力です。
飛行機が飛ぶ仕組みも全く同じですが飛行機は翼で揚力を得るのに対して、ヘリコプターはローター(プロペラ部分)を利用して揚力を得ています。
ローターブレードを回転させて空気を重力と反する方向へ送り揚力を得ています。
しかし、ローターブレードが生み出す揚力は大気の密度に大きく依存しています。
大気の密度が高いほどヘリコプターは安定して飛行することが可能になります。
しかし飛行高度が上がると大気の密度も下がってくるために安定した飛行が難しくなってしまうのです。

さてエベレストの標高は海抜8848メートルです。
8848メートルもの高度になると海抜0メートルの大気の密度は3分の1にまで薄くなってしまいます。
大気の濃度が3分の1になると当然のことながらヘリコプターのローターブレードが得る事ができる揚力も3分の1にまで低下してしまうのです。
またヘリコプターは機体の重量もですが搭乗する人や荷物の重量も揚力で賄わなければなりませんが、標高8000メートルもの高度では大気の密度が低すぎて機体を浮かせておく事すらできなくなってしまうのです。

ヘリコプターの中でもより高い高度でも飛行できるものもあります。
より強力なエンジンを装備し、大きなローターブレードを装着し軽量の機体で作られています。
当然のことながらそういった機体は製造コストも高く、通常のヘリコプターは高度3000m以上の高度を飛行する目的では作られていません。
しかし2005年にはエベレストの山頂付近を飛行したヘリコプターも存在しています。その時の操縦士は『エベレスト頂上付近に着陸することが最も難関であった』と語っています。
理由は雪で覆われた山の地形が確認しづらいことを挙げていました。
雪の下が地面なのかもしかしたらクレバスがあるのか・・・ヘリコプター上からでは判断しづらかったからです。
また標高8000m超の高度でホバリングや離着陸に機体にどれほどのパワーが必要になるのかを気候、気圧や気温も含めて常に計算していなくてはなりませんし雪崩の危険性が少しでもある場所に着陸するわけにはいきません。
これだけのリスクを挙げればヘリコプターが高高度での山岳救助には向いていないことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

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